肌は日々ターンオーバーを繰り返しながら、肌細胞が生まれ変わり、そのことで、健康的で美しい素肌、キメのなめらかな素肌が保てるようになります。
しかし、肌はとてもデリケートで、生活習慣の乱れやスキンケアの仕方、
あるいはターンオーバーを促そうと思って行っているケアの中にも実は、誤った促し方もあるようです。
今回はそんな美肌にとって必要不可欠なターンオーバーについて、その整え方や効果、誤った整え方などについてもご紹介しています。
1.ターンオーバーとは?
ターンオーバーというのは、肌の新陳代謝、肌の生まれ変わりのサイクルのことを言います。
2.正しいターンオーバーとその周期
肌というのは、その最も内側から
・真皮
・表皮
という3層に分かれています。
そして、皮下組織はその下の筋肉や脂肪から守る役割を果たし、
また、真皮は表皮を支える役割を果たしています。
さらに表皮は外部刺激から真皮や皮下脂肪を守る役割を果たすものとなっています。
またそんな表皮も、内側から、
・有棘層(ゆうきょくそう)
・顆粒層(かりゅうそう)
・角質層(かくしつそう)
という4層に分かれています。
肌の細胞というのはその、最も内側にある基底層で作られ、
その後は、有棘層、顆粒層、角質層と、どんどんと肌の外側へと少しずつ押し上げられていくことになります。
また最も外側にある角質層へと到達すると、最終的には角化した角質細胞、いわゆる古い角質となり、自然と剥がれ落ちることになります。
このような肌の代謝のことをターンオーバーといいます。
またその周期は、一般的には、28日前後~56日前後とされています。
そして、年齢によっても異なっていて、一般的には年を重ねるごとに周期は長くなり、
20代では約28日程度、30代、40代になると約45日程度、それ以降の年代の方になるとさらに長くなることになります。
また、理想的なターンオーバーの周期は約28日だといわれています。
3.ターンオーバーが整うとは?
よくターンオーバーが整った素肌、きれいな素肌を保つために、ターンオーバーを整えようといわれることも多いのですが、
ターンオーバーが整うとはどういうことなのでしょうか。
それは、先のとおりに、肌の細胞というのは日々、ターンオーバーを繰り返し、生まれ変わるものであり、
それが徐々に、肌の表面、角層へと移動していくうちに、肌細胞は角化していき、垢や古い角質となって最終的には、自然とはがれることになります。
これが正常なターンオーバー、ターンオーバーが整っていることになります。
ターンオーバーが整うことによって、肌はきちんと生まれ変わりを繰り返すことになり、肌が健康的に保たれるのはもちろん、
傷ややけどなどを負っても、あるいは、紫外線によるダメージを受けても、ターンオーバーが正常であることで、傷ややけども自然と修復し、元のきれいな素肌に戻りますし、
紫外線ダメージも緩和され、一時的には日焼けをして肌が黒くなっても、ターンオーバーを繰り返していくうちに、白い肌に戻っていくことになるんですね。
4.ターンオーバーが整うとこんなにいいことが!
ターンオーバーが整うことにより、肌の新陳代謝がよくなったり、肌の修復も促されることになりますので、
例えば、
・肌が柔らかく、ふっくらとした状態を保てる
・ハリと弾力が生まれる
・キメがなめらかに整う
・透明感、白い肌が保てる
・シミやそばかすができにくくなる、シミ、そばかすができても改善されやすい
・ニキビや吹き出物ができにくくなる、ニキビや吹き出物ができても治りやすい
・肌の潤いが保ちやすくなり、乾燥肌になりにくい
・毛穴に汚れが詰まりにくくなる、毛穴が目立ちにくくなる
・丈夫なバリア機能を保てるようになる
・敏感肌やアトピーになりにくい、敏感肌やアトピーの改善にもつながる
・シワやほうれい線ができにくくなる
このような肌効果が期待できるようになるでしょう。
5.逆にターンオーバーが乱れるとは?
逆にターンオーバーが乱れるというのはどういう状態のことでしょうか。
ターンオーバーというのは約28~56日程度の周期で行われるものであり、それを繰り返すことにより、健康的な肌が保たれるようになるのですが、
それが何らかの原因によって乱れが生じ、
例えば、20代の若い方であれば28日程度でターンオーバーを繰り返すのが通常のところ、そのような若い方でも40日、50日とターンオーバーの周期が遅くなります。
そして、肌がきちんと生まれ変わることができないといったことが起こることもあります。
このような現象をターンオーバーの乱れといいます。
●ターンオーバーは早すぎてもよくない
また、ターンオーバーの乱れというと、このように周期が遅くなるといったイメージがあるのですが、
逆に、ターンオーバーの周期が短く、肌の生まれ変わりが早くなりすぎてしまうこともあります。
そのようにターンオーバーが早すぎることで、十分に肌細胞が育つことができずに、そのまま肌の表面まで押し出されることになります。
そんな肌細胞は角化されずにまだ未熟な状態であり、そのことにより、肌が弱くなったり、あらゆる肌トラブルの原因にもなってしまいます。
このような状態もまた、ターンオーバーが乱れている状態だといえます。
6.ターンオーバーが乱れるとどうなるか
このようにターンオーバー乱れが生じてしまうと肌はどうなるのでしょうか?
・肌が硬くなる、ごわつく
・古い角質が溜まり、自然と排出されにくく、落ちにくくなる
・肌がくすみやすくなる
・肌がたるみやすくなる
・小じわやほうれい線が目立つ
・毛穴が目立ちやすくなる
・毛穴に黒ずみや角栓が詰まりやすくなる
・シミやそばかすができやすくなる、できてしまうとなかなか治らない
・ニキビや吹き出物ができると治りにくい、治ったあとも、色素沈着しやすい
といったことが起こりやすくなり、
・バリア機能が低下する
・肌が乾燥しやすくなる
・少しの刺激でもピリピリしたり、かゆくなったりと、肌が敏感になりやすい
・乾燥性敏感肌やアトピーになりやすい
・肌が赤くなりやすい
・皮脂が過剰に分泌されやすくなる、ニキビや吹き出物ができやすい
といったことが起こりやすくなります。
7.ターンオーバーが乱れる原因とは?
ではターンオーバーの乱れはどうして起こってしまうのでしょうか。
その原因として考えられるのが、
人の肌というのは睡眠している時に最も新陳代謝が活発になり、ターンオーバーが整うとされ、睡眠が十分でなければ、そのように肌環境が整えられなくなります。
例えば、肌細胞を作り上げるたんぱく質が足りなかったり、肌の機能を整えるビタミンやミネラルが十分でなければ、肌にも栄養が足りなくなり、代謝も遅れてしまうことになります。
年を重ねることにより、どうしてもターンオーバーの周期が長くなり、肌が生まれ変わりにくくなってしまいます。
女性ホルモンの中には、卵胞ホルモンと呼ばれるホルモンがあり、それには、肌の新陳代謝を良くしたり、ターンオーバーを整える働きもあります。
そのために“美肌ホルモン”と呼ばれることもあるもので、そんな女性ホルモンの分泌が乱れることでターンオーバーの遅れが生じることがあります。
ストレスや疲労がたまってしまうと、自律神経の乱れやホルモンバランスの乱れにもつながり、自律神経もまた肌の代謝を整えてくれるものでもありますので、そのことによって、ターンーオーバーの乱れにつながってしまいます。
肌が乾燥してしまうと、それをカバーしようと、肌はターンオーバーを早くようとします。
その結果としてターンオーバーの早すぎる状態を作り出してしまい、肌が十分に育たなくなり、敏感肌やさらに肌が乾燥してしまうといった悪循環に陥ってしまうこともあります。
例えば、汚れがきちんと落とせていない場合には、古い角質がたまりやすくなり、それが肌の生まれ変わりを邪魔して、ターンオーバーの遅れの原因にもなります。
体が冷えることによって、体の代謝が低下してしまい、血行も悪くなって、それと同時に肌の代謝も低下してしまいます。そのことがターンオーバーの遅れにつながってしまいます。
喫煙をすることによって、血行が悪くなり、また、体内ではビタミンCが大量に消費されてしまいます。
そして、過度に飲酒することによって、体内ではアルコールを分解するために大量に水分が消費され、乾燥状態となり、また、ビタミンB群も消費されることになります。
その結果として肌の新陳代謝を遅らせ、ターンオーバーの乱れにもつながってしまいます。
眠る前に、飲食をすることによって、就寝後に血流や栄養が胃に集中してしまい、エネルギーが消化のために使われてしまうことになります。
そのことにより肌へと血流や栄養が行き渡りにくくなり、ターンオーバーにも影響を与えてしまいます。
8.ターンオーバーを整えるためには
このようにターンオーバーを乱す原因は様々あり、それを知ることで、逆にターンオーバーを整えるために必要なことが見えてきます。
それが、
正しい睡眠、質のよい睡眠
ターンオーバーを整えるためには、やはり毎日の睡眠が非常に重要で、
特に、就寝後、3時間経過した頃に肌の新陳代謝が最も活発になり、ターンオーバーも整えやすくなっています。
そのために、お布団に入ってから3時間後には深い眠り、いわゆるノンレム睡眠の状態であることが理想的となっているんですね。
またそのような状態を作り出すためにできれば、寝る前にはテレビやスマホを見ないようにする、部屋の明るさやお布団や枕などの寝具を快適なものに整える、
寝る前の1時間前には入浴を済ませておくといった工夫をして、心身ともにリラックスした状態で就寝できる環境に整えておくことも大切ですね。
正しいスキンケア
ターンオーバーが遅い方も早すぎる方も、正しいスキンケアを毎日地道に行っていくことでターンオーバーを整えることができます。
その方法は、
メイクをした日には、きちんと適切にクレンジングしてメイクを落とし、
その後は、たっぷりの泡で、肌に指が触れないように、優しく、丁寧に洗顔し、余分な汚れはきちんと落としてあげる。
そしてその後は、化粧水でたっぷりと保湿して、乳液やクリームの油分できちんとふたをして、与えてあげた水分を閉じ込めて、潤いを保ってあげる。
本当に基本的なことなのですが、毎日の正しいスキンケアによってターンオーバーは整えられます。
また、ターンオーバーが遅い方の場合は、
洗い過ぎには注意しながらも、クレンジング、洗顔はきちんと行い、不要な汚れ、角質を落とす、その後はたっぷりと保湿、
ターンオーバーが早すぎる方の場合は、
洗い過ぎないように注意し、クレンジングはできれば、肌を乾燥させたり、バリア機能を弱めてしまうオイルクレンジングは避けて、ミルクやクリームタイプのものを使う、
バランスの取れた食事を取る
糖質にたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルとバランスの取れた食事を取るようにしましょう。
そうすることで、肌にもきちんと栄養が行き渡るようになり、健やかなターンオーバーが保たれます。
特に、栄養素の中には、βカロテンやビタミンB群など、肌の新陳代謝を促してくれたり、肌や粘膜を強化して、健やかに保ってくれる栄養素もありますので、そのような栄養素を積極に摂るのもいいですね。
適度な運動や入浴などで肌の血行、代謝をよくする
特にターンオーバーが遅い方は、体の血流が悪かったり、代謝が悪いことも多く、例えば、ウォーキングや軽いジョギング、階段の上り下りといった簡単なものでいいので、軽い運動を取り入れてみましょう。
また、湯船につかって入浴することでも血行をよくして、代謝を高めることができるようになります。
できれば、夏場であっても、シャワーだけで済ませずに、湯船につかって血行をよくすることをおすすめします。
ストレス、疲労をためない
ストレスや疲労が溜まることで、肌のターンオーバーが乱れ、肌荒れやシミ、くすみ、ニキビができやすくなったりと肌荒れにつながってしまうこともあります。
ストレスの全くない生活を送ることは無理だとしても、日常生活の中で、趣味に没頭できる時間を作ったり、
音楽やアロマなど、心身ともにゆっくりとリラックスできる時間を作ったり、ゆっくりとお風呂につかるといったことでもいいので、
上手くストレスを発散させる環境を作るようにするといいですね。
疲れもためないようにし、休日や、ちょっとした隙間時間などにも、休める時にはきちんと休むといったことも大切です。
紫外線を避ける
紫外線によって、肌がダメージを受けると、シミやそばかす、くすみの原因になるだけではなく、肌のターンオーバーを乱す原因にもなってしまいます。
ですから、外出時には日焼け止めを塗ったり、UVカット効果のあるファンデーションやBBクリームなどで肌を守ってあげる、
あるいは、日傘や帽子などで肌をガードしてあげるのもいいでしょう。
体を冷やさない
体が冷えることにより、血行も悪くなりますし、肌の新陳代謝も悪くなったり、さらには、ホルモンバランスの乱れや自律神経の乱れなども招いてしまうこともあります。
その結果として、肌のターンオーバーも乱れやすくなります。
また、体を冷やすような飲み物や食べ物は避けるようにし、血行を良くしたり、体を温めてくれる飲み物、食べ物をできるだけ摂るようにしたりするといいでしょう。
夏場の冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎにも注意ですね。
眠る前には飲食をしない
寝る前に食事をしてしまうと、胃の中に食べ物が残ったままで就寝してしまうことになり、体内の血流やエネルギーがその食べ物の消化に使われてしまうことになります。
また、胃の中に食べ物が残っている状態だと、体が熟睡できない状態になってしまいます。
肌がきちんと生まれ変わり、肌細胞を作るためには熟睡状態であることが必要なので、よりターンオーバーのためにはよくないんですね。
夕食はできれば、きちんと消化させるということを考え、就寝の3時間から4時間前には済ませておくのが理想的です。
9.ターンオーバーの整え方にも誤った方法がある?
このように美しい素肌、健康的な素肌を保つためには、健やかなターンオーバーが必要不可欠になってくるのですが、
ターンオーバーを整えるために良いとされていることのなかには、実は逆効果の誤った方法もあるようです。
それが、
■ピーリング
ピーリングというのは、AHAと呼ばれる、フルーツ酸などの成分を肌に塗布することによって、肌の古い角質を溶かして、取り除くスキンケア法なのですが、
そのように古い角質が取り除かれることにより、ターンオーバーを乱していた原因が取り除かれ、ターンオーバーが早まるとされています。
しかしながら、このようなピーリングは不要な角質を取り除くとともに、本来なら必要な角質まで無理やりに取り除いてしまうこともあり、
それを続けていくうちに、肌のバリア機能が弱くなってしまうこともあります。
そのことで、肌が乾燥しやすくなったり、敏感になってしまったり、あらゆる肌荒れにもつながってしまうこともあります。
特に、ターンオーバーがそれほど遅くない方や早すぎるといった方は要注意で、そのような方はピーリングは避けた方がいいでしょう。
遅いと感じる方でも、行うのであれば、回数を極力減らすなどして、肌の調子をじっくりと確かめながら行われることをおすすめします。
■酵素洗顔
酵素洗顔もまた、ピーリングとその原理は同じで、酵素洗顔の場合は、たんぱく質を溶かす性質がある酵素を用いることで、たんぱく質でできてる古い角質を分解し、落とすことができるものとなっています。
しかしながらこの酵素洗顔もまた、必要な角質まで分解して、落としてしまうこともあることから、やはりピーリングと同様に肌のバリア機能に影響を与え、肌を弱めてしまうこともあります。
ですからできるだけ使用しないようにし、ターンオーバーが遅すぎると感じる方なら、使用するなら回数を少なくしながら、安全に使用するようにしましょう。
■はがすタイプのパック(ピールオフパック)
ターンオーバーを促進するためにがすタイプのパック、ピールオフパックを使用するとい方もいらっしゃるかもしれません。
このようなピールオフパックもまた、肌への負担がとても重く、数度の使用でも肌を傷めてしまいます。
よく耳にする角質層と呼ばれる、人の肌の最も外側にある組織は、特にその厚さがわずか0.2ミリほどで、とてもデリケートなものであり、
10.まとめ
いかがでしたか?
毎日繰り返すターンオーバー、そのことで私たちの肌は日々生まれ変わりを繰り返し、
それが正常に行われていれば、いつも美しく、健康的な素肌を保つことができるようになります。
しかしながら、例えば、誤ったスキンケアや生活習慣、食事のバランス、ちょっとした不摂生などでも、そんなターンオーバーが乱れてしまうことがあり、
また、ターンオーバーが遅れるのはもちろん、早すぎても、肌に悪影響を与えてしまうんですね。
そして、そうならないためにはやはり日ごろからの正しいスキンケアや生活習慣を整えること、栄養バランスも大切で、
さらに、良かれと思っていたケアの中にも、実は逆効果のものもあり、それらにも注意しながら、正しくターンオーバーを整えてあげることで、
毎日少しずつでありながらも、きちんと美肌を育ててあげることができるようになるんですね。
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