肌のバリア機能が低下すると、肌が敏感になりやすく、すぐに赤くなったり、ピリピリしたり、かゆくなったりと、
そんな敏感肌に悩んでいる方も最近では増えているといわれています。
ではそんな肌バリアが低下する原因って知ってるようで知らないもので、今回は肌バリアが低下する原因に、あまり知られていない意外な原因、
さらにバリア機能低下で起こることや、本当に正しいバリア機能の育て方についても詳しくご紹介してみたいと思います。
敏感な肌に悩まれている方もぜひその原因やケアの方法の参考になさって、もう刺激に悩まない、芯から丈夫で健康的な素肌を育てていきましょう。
1.バリア機能はなぜ低下する?
●生まれつきバリア機能が低い
人の皮膚には、NMFと呼ばれる天然の保湿因子や細胞間脂質という組織が存在し、それらが角質層に充分に存在することにより、バリア機能の役割を果たし、
外部の刺激や乾燥から守られるようになっているのですが、
なかには、元々そのような天然保湿因子や細胞間脂質の生成が弱い方もいます。
そのような方の場合、ご両親も肌が弱いいった方も多く、遺伝的な要因、つまりそういう体質で、生まれつきバリア機能が弱いといった方です。
●誤ったスキンケア
先のとおりに、人の肌というのは、天然保湿因子や細胞間脂質が存在することによりバリア機能が健やかに保たれ、
さらにそんな天然保湿因子や細胞間脂質は、人の肌の表皮の部分に多く存在し、
また人の表皮というのはその厚さがわずか0.2mmほどで、そんな0.2mmほどの厚さの非常にデリケートな表皮によって私たちの肌というのは守られています。
ところが、例えば、皮脂やテカリが気になるからとゴシゴシと肌をこするようにして洗顔したり、洗浄力の強い洗顔料で洗顔したり、1日に何度も洗顔したりすることにより、
そんな表皮はさらに薄くなりやすく、そのことが原因でバリア機能の低下を招いてしまうことがあります。
さらに、ピーリングやクレンジング、はがすタイプのパックなどのケアもバリア機能に影響を与えやすく、このようなケアのしすぎもバリア機能の低下につながることが多くあります。
●肌の乾燥
潤いの保たれた肌というのは、肌の表面を守る角質層に天然保湿因子や細胞間脂質が十分に存在するのですが、
そんな肌が何らかの原因で水分量が低下し、肌が乾燥することにより、表皮が守られなくなり、バリア機能の低下につながってしまいます。
さらに水分量の高い潤った素肌はそれだけで健康的なターンオーバーを保つことができるのですが、
肌が乾燥することでターンオーバーの乱れの原因にもなり、バリア機能の低下につながってしまうこともあります。
●ストレスや生活習慣の乱れ
例えば、ストレスが蓄積したり、睡眠不足の状態が続いたり、また運動不足や食生活の乱れなどが続くことで、肌のターンオーバーが乱れてしまいます。
肌のターンオーバーが乱れることにより、肌を守ってくれる角質層が十分に育たない肌環境になりやすくなります。
角質層が育たなくなることで、必然的にバリア機能も弱くなり、乾燥しやすくなったり、刺激を受けやすい肌になってしまうことがあります。
●紫外線
紫外線を浴びることにより人の表皮を覆う皮脂が酸化することがあります。
特に強い紫外線や、長時間紫外線を浴び続けることにより皮脂は酸化しやすく、
またそのような皮脂は人の肌を覆って、肌内部の水分蒸発を防いだり、あらゆる刺激から皮膚を守ってくれる保護膜の役割を果たしてくれているものでもあり、
皮脂が酸化することにより保護膜としての効果がなくなり、
肌乾燥を招いたり、刺激に対する抵抗力を弱めたりといったバリア機能の低下を招いてしまうことがあります。
2.バリア機能低下で起こることとは?
●肌が極度に乾燥する
バリア機能が健やかに保たれることによって外部刺激から肌が守られることはもちろん、肌内部の水分の蒸発を防ぎ、適切に肌の潤いが保てるようになるのですが、
バリア機能が低下することによりそんな肌内部の水分が蒸発しやすくなり、肌の乾燥を招いてしまいます。
バリア機能低下による乾燥は肌の表面だけではなく、肌内部の乾燥の原因にもなり、極度の乾燥、改善させにくい乾燥にもつながってしまうことがあります。
●敏感肌の原因になる
先のとおりに、バリア機能が低下することにより、肌内部の水分が蒸発しやすくなり、角質層の天然保湿因子などの量が少なくなってしまいます。
そうなると肌の表面を守ってくれる角質層で十分に水分が保てなくなり、肌を守る力も低下し、敏感肌の原因となってしまいます。
敏感肌になると、ちょっとした刺激に肌がかゆくなったり、化粧品などの成分でかゆみや赤みが生じたり、
乾燥や紫外線などによっても肌刺激が起こってしまいやすくなります。
●皮脂が過剰になる
バリア機能の低下は、敏感肌などのあらゆる肌トラブルの原因となるのですが、過剰な皮脂の分泌も招いてしまうことがあります。
というのは、バリア機能の低下は肌を内側から乾燥させ、肌が乾燥するとそんな乾燥から肌を守ろうとして皮脂の分泌が促されることになり、
その皮脂の分泌量が適切なものであれば肌の乾燥も和らぎ、問題ないのですが、
それが過剰になってしまうと肌のテカリやニキビ、吹き出物、角栓、角質肥厚などの肌トラブルにつながってしまうことがあります。
●ニキビができやすくなる
先のとおりにバリア機能が低下すると、肌が乾燥しやすくなり、また刺激を受けやすくなります。
そしてそんな乾燥や刺激から肌を守ろうと皮脂が過剰に分泌されやすくなり、そんな皮脂が毛穴にたまってしまうことで、雑菌が繁殖し、ニキビができやすくなります。
またそんなバリア機能低下によるニキビは、その原因がバリア機能の低下だとは気づきにくく、ニキビの改善のために過剰に洗顔したり、殺菌作用のあるケア用品を用いることも多く、
そのようなケアでさらにバリア機能の低下を招いてしまうこともあるので注意が必要です。
3.バリア機能を高める方法
バリア機能の低下は色々な肌トラブルの原因にもなってしまい、元々の肌質だから仕方ないとあきらめてしまっている方も多いかもしれません。
しかしそんなバリア機能の低下は誤ったスキンケアなどが原因となっていることが多く、ケアを見直すなどをしてあげることで完全させることができますし、
また生まれつきバリア機能が弱いといった方も適切にケアしてあげることで改善させることもできるんですね。
そのために例えば、
●しっかりと保湿する
肌が乾燥することによってバリア機能は低下しやすく、バリア機能が低下してしまうとより肌の乾燥をすすめてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
また肌をしっかりと保湿して、潤いが保たれることにより、肌の新陳代謝も活発になり、バリア機能も育てることにつなげられます。
朝と夜の洗顔後には、化粧水で必ず水分を与えて、その後や油分が含まれる乳液や保湿クリームなどのアイテムで、その水分を閉じ込めてあげましょう。
特に、元々バリア機能が低い肌質の方の場合、皮脂の分泌自体も少ない方も多いので、
そのような方は油分の多いクリームなどでしっかりと潤いを保持してあげることをおすすめします。
●肌をこすらない
バリア機能が低下しやすい原因としてスキンケアの方法の誤りがあるのですが、その中でも意外と多いのが肌のこすりすぎです。
例えば、クレンジングや洗顔する際にゴシゴシと肌をこすってしまう、洗顔後に顔をふく際に、ついつい力が入りすぎてしまう、
また、スキンケアの際にコットンで化粧水をつける際にも、知らず知らずのうちに肌をこすってしまっていたり、メイクの際にも、パフで肌をこすりすぎてしまっていることもあります。
洗顔やスキンケア、メイクは毎日のことですから、自分では優しく行っているつもりでも、やはり知らないうちに力が強くなってしまっていたり、
特に忙しいとついごしごしと肌をこすってしまうこともあります。
ですから、日ごろからスキンケアには特に注意して、クレンジング時や洗顔時にはクレンジング剤や洗顔料の泡で肌を洗うようにし、
できるだけ指や手のひらが肌に触れないようにするくらいの意識で優しく洗うようにしましょう。
またスキンケアの際には、化粧水はコットンを滑らすのではなく、ポンポンと優しく肌に乗せるようにしたり、コットンではなく手で付けるようにしたり、
メイクの際にも、ファンデーションを乗せる時には、パフを極力優しい力でなでるようにつけたり、
さらに気になる方はパフをポンポンと優しく押さえるようにして乗せたり、
リキッドなどを指で塗る時には、やはり優しい力でなでるようにつけたり、指先でポンポンと優しくなじませるようにするのがおすすめです。
●洗いすぎない、皮脂膜を取りすぎない
特に脂性の方は、皮脂の分泌が気になるからと毎日何回も洗顔したり、頻繁にあぶらとり紙などで皮脂を取り去る方も多いかもしれませんが、
皮脂は元々肌の乾燥を守るために分泌されるもので、肌の水分蒸発を防いでくれるのに必要なものでもあります。
そんな皮脂を洗顔などで取りすぎてしまうと、肌の乾燥にもつながってしまい、肌乾燥が原因でバリア機能の低下を招いてしまうこともあります。
そうなってしまうとそんなバリア機能の低下から肌を守ろうとしてさらに皮脂の分泌が活発になってしまうという悪循環に陥ってしまうこともありますので、
洗顔やあぶらとり紙などで皮脂を取るのは適切に行うようにし、できれば洗顔は朝と晩の1日2回まで、
テカリが気になる場合には、あぶらとり紙で吸収するよりも、ティッシュで軽く押さえるようにするのもおすすめです。
●マッサージをしすぎない
肌によかれと思って行っていたマッサージでバリア機能を低下させてしまっていることもあります。
これは主にマッサージの際の肌の摩擦が原因となっていて、肌への摩擦を抑えるためにマッサージクリームやオイルを塗って行っている方も多いと思いますが、
やはり力が強くなってしまうと肌の摩擦につながってしまいます。
ですからマッサージをする場合には、適度にするようにして、自分で行うのが不安な場合はプロに任せるようにしましょう。
また、クリームやオイルを使っていても、そして優しい力で行っていても、マッサージした後の肌が赤くなっている場合には、かなり肌に負担がかかっている証拠ですので、
マッサージを中止するようにしましょう。
●ピーリングやはがすタイプのパックをしない
ピーリングはフルーツ酸などの弱い酸を塗布して、古い角質を柔らかくして取り除くケアのことで、
そうすることで肌に透明感が出たり、肌の再生が促されニキビ跡を改善させたりといった効果が得られるケアでもあるのですが、
これは、角質肥厚によりくすみがひどくなっている方や、比較的丈夫な肌でニキビ跡が気になるといった方には効果的なケアですが、
一方で肌への負担も大きく、用いる薬剤や方法によっては必要な角質までも取り除いてしまい、バリア機能の低下を招いてしまうことも多いケアでもあります。
そのため、特に乾燥肌の方やバリア機能の低下が気になる方は注意が必要で、敏感肌の方は行わない方がいいケアとされています。
ですから少しでもバリア機能の低下が気になるといった方はできるだけ行わない方がいいでしょう。
●肌のバリア機能を高める栄養素、食べ物を食べる
私たちの体は毎日食べるもので作られていて、それはお肌も同じで、食べ物は素肌のためにも大切です。
栄養素や食べ物の中には肌のバリア機能を体の中から支えてくれるものもあり、そのような栄養素や食べ物を積極的に摂るようにするのもおすすめです。
例えば、肌の細胞はアミノ酸でできていて、そんなアミノ酸はたんぱく質から作られます。
さらにバリア機能に欠かすことのできない肌内部の天然保湿因子もたんぱく質でできています。
そのため、たんぱく質をきちんと摂ることによって肌細胞は健康的に作られ、丈夫な素肌、バリア機能の強化にもつなげられることになるんですね。
他にも、ビタミンも肌の新陳代謝やたんぱく質の代謝にも欠かすことのできない栄養素で、
ビタミンの中でも、ビタミンA、ビタミンB2やビタミンB6などのビタミンB群、
ビタミンCやビタミンEを積極的に摂るようにおすすめします。
特にビタミンAは、粘膜を健やかに保ってくれる働きがありますし、ビタミンB群にはたんぱく質の代謝をよくしてくれる働きがあり、
肌のバリア機能アップのために効果的なビタミンとなっています。
他にも食物繊維には腸内環境を整える効果から、便秘の改善を促すとともに、毒素を排出し、免疫力を高める効果もあり、肌の免疫力も高めてくれるようになっています。
ちなみに、たんぱく質は、お肉やお魚、大豆製品に豊富に含まれ、ビタミンAは、にんじんやかぼちゃなどの緑黄色野菜に、
ビタミンB群は、豚肉やレバー、大豆やバナナなどにも含まれています。
またビタミンCは、レモンやみかん、キウイ、イチゴなどの果物、ピーマンやブロッコリーなどにも多く含まれていますし、
ビタミンEは、ピーナッツなどのナッツ類、アボカド、植物油などにも含まれています。
そして食物繊維は、野菜、特にごぼうやレンコンなどの根菜類、ワカメやひじきなどの海藻類、しめじや舞茸などのキノコ類、長いもやオクラなどのネバネバとした食材にも豊富に含まれていますね。
このような食材からバランスよく摂ることをおすすめします。
●良質の良い睡眠を取る
肌のバリア機能を高めるためには毎日の睡眠もとても大切になってきます。
肌の新陳代謝が最も活発になるのが夜の就寝中とされていて、肌のターンオーバーを健やかに整えてくれるのも就寝中となっています。
また特によく言われるのが、夜の10時から2時までの間が「お肌のゴールデンタイム」というもので、それにも根拠があり、
その時間帯に体内では最も成長ホルモンが分泌され、その成長ホルモンがさらに肌の代謝をよくし、
肌を健康的に美しく保ってくれるようになります。
もちろん、肌の代謝が健康的に保たれ、ターンオーバーが整えられると、
肌環境も健やかに保たれ、おのずと潤いが保てるようになったり、バリア機能も高めることができるようになります。
特にポイントなのは夜間に適切な睡眠を取ることで、10時に就寝することはなかなか難しいにしても、できるだけ早い時間帯に眠りにつくようにし、
なるべく7時間程度は睡眠を取るようにして、肌リズムを整えてあげるようにしましょう。
●紫外線対策をしっかりとする
先のとおりに、紫外線によるダメージで肌バリアが低下してしまうこともありますので、日ごろから紫外線対策をしっかりしておくことも大切です。
紫外線対策というと夏の間だけという方も多いと思いますが、年中降り注いでいるものであり、
特に油断しがちな春先や秋にかけても強く降り注いでいますので注意が必要です。
夏場以外でも、日焼け止めを塗るようにしたり、もし肌が敏感になっている方で日焼け止めによる刺激や乾燥が気になるといった場合には、
UV効果のある下地やパウダーファンデーションを塗るようにするのもいいですし、
今では無添加の肌に優しい日焼け止めなんかもありますので、そのようなものを上手く取り入れるのもいいですね。
他にも、日傘や帽子を活用したり、外出時には直射日光を避け、木蔭を歩くようにしたりといった工夫もいいですね。
また、日焼け止めを塗っていて肌乾燥が気になる場合には、日焼け止めを塗る前にしっかりと保湿したり、保湿成分入りの日焼け止めを選ぶといったこともいいですね。
4.まとめ
いかがでしたか?
肌のバリア機能が低下することによって肌がかゆくなったり、ピリピリしたり、赤くなったり、ちょっとした刺激にも反応してしまったりもします。
最近ではそんな肌のバリア機能の低下、そのことによって敏感肌になってしまって、悩まれている方も増えているというんですね。
それもその原因というのが、生まれつきの肌質というよりも、環境やケアの仕方が原因となっていることが多くて、
なかでも意外と多いのが、良かれと思って毎日やっていたケアの仕方が悪くて、かえって肌のバリア機能を弱くさせてしまったというケースなんですね。
こちらではそんなバリア機能の原因や意外な原因、さらに、バリア機能を強化させるケアの方法や日ごろの心がけ、生活習慣、栄養などについても詳しくご紹介してみましたので、
敏感肌で困っている方や、何だか最近肌の調子がよくない方、季節によって肌が弱くなるといった方もぜひ参考になさって、芯から健康素肌、丈夫な素肌を育て上げましょう!