界面活性剤というと肌によくないというイメージがあり、界面活性剤が配合されている化粧品は危険というイメージを持たれている方も多いかもしれません。
でも実際には界面活性剤は、今では多くの化粧品や洗剤、食品にも使われているもので、それほど危険ではないものであるという見方もあります。
では本当のところはどうなのでしょうか?
今回はそんな界面活性剤について、それはどんな成分なのか、どんな特性があり、本当に悪いものなのかなどについて、ご紹介してみたいと思います。
1.界面活性剤とは?
●水にも油にもなじみやすい性質を持つ物質
界面活性剤というのは、界面、つまり、「物質と物質の境目に作用する働きがある特性を持つ物質のこと」で、
普通、油性と水性の物質というのは分離し、混ざり合うことがないのですが、
界面活性剤には、水にも油にもなじみやすいという特性もあります。
そのような水性の物質と油性の物質とを混ぜ合わせる働きがあることによって、界面活性剤は、化粧品でも乳液やクリームなどの乳化剤としても使用されています。
さらに、そのように異なる性質の成分同士を混ぜ合わせ、吸着させてくれる働きがあることから、高い洗浄力もあり、クレンジングや洗顔料、石けん、洗剤などにも使用されています。
2.界面活性剤は肌に悪い?
化粧品をはじめ、食品や洗剤などにも多く使用されている界面活性剤ですが、肌にとってはあまりよくないというイメージを持たれている方も多いかもしれません。
それはなぜでしょうか?
●たんぱく質を変性させる恐れがある
例えば界面活性剤には、たんぱく質を変性させたり、その性質を破壊してしまうという恐れがあるとされています。
人の肌はたんぱく質でできていることから、肌にも影響を与え、甚大なダメージとなる恐れもあるといわれることもあります。
●高い浸透性があり、肌に残りやすく、長く影響を与える
また界面活性剤には、高い浸透性に、高い残留性もあるために、化粧品として使用することで、浸透しやすく、肌にも残りやすいという性質もあります。
そのために、肌への影響も長く続いてしまうことになります。
●洗浄力が高く、肌に使うと乾燥し、バリア機能にも影響を与える
界面活性剤は洗浄力も強いことから、クレンジングや洗顔料、シャンプーなどで使用することにより、肌を過度に乾燥させたり、
バリア機能の低下を招いてしまう恐れ、肌を荒れさせる原因となる恐れもあるとされています。
3.現在使用されているものは実はかなり安全性が高い?
このようにみると界面活性剤が使用されている化粧品を使うのが怖くなってしまうのですが、
実際のところ、界面活性剤と一口に言っても様々な種類のものがあり、危険性や毒性が高いものはその一部だとされています。
また今では、洗浄剤としてシャンプーなどにされている界面活性剤についても、「ラウレス硫酸ナトリウム」など、界面活性剤の中でも刺激の弱いものが使用されていることが多く、安全性もかなり高くなっています。
さらに洗浄剤ではなく、乳液やクリームで乳化剤に使用されているものについては、乳化のみに働くようになっていて、
肌にも残りにくく、肌にも直接作用しにくいものとなっていますので、こちらも安全性が高いといえるでしょう。
そのため、今では界面活性剤といってもさほど神経質になるほど心配なものではなくなっているといえるでしょう。
4.ではなぜ肌に悪いイメージがあるのか?
ではこのような界面活性剤は今でも肌によくないというイメージがあるのはなぜなのでしょうか?
これは、「ラウリル硫酸ナトリウム」という合成界面活性剤が開発された頃、それが、欧州の硬水にとても合う合成界面活性剤でもあったことから、化粧品にも多く使用され、
またそれは、界面活性剤の中でも刺激の強いものであり、実際にそれを使用して、肌荒れを起こすケースも多くあったということです。
そのようなことから界面活性剤は肌に悪いというイメージが定着したと考えられ、
しかしその後、「ラウリル硫酸ナトリウム」よりも肌への浸透力も低く、肌への刺激も弱い、安全な「ラウレス硫酸ナトリウム」が開発されることとなり、
そんな「ラウレス硫酸ナトリウム」が多く使われ始めてからは、そのようなトラブルも少なくなり、安全に使用することができるようになっています。
5.でも気をつけたいこともある?
今使用されている界面活性剤は、このように安全性も高く、食品の添加物としても使用されているほどで、実際にはそれほど神経質にならなくてもいいものでもあります。
でも、注意したいこともあります。
それは、乾燥肌や敏感肌の方が使用する際です。
特に、クレンジングや洗顔料などに洗浄剤として使用されているもののなかには、非常に洗浄力の高いものもあり、
そのような界面活性剤が配合されているものを乾燥肌や敏感肌の方が使用すると、強い洗浄力によって、必要な皮脂までが強力に落とされてしまい、
より乾燥した肌へと傾いてしまうこともあります。
さらにバリア機能にも影響を与えて、バリア機能を弱め、肌の状態をより悪化させてしまうこともありますので注意が必要です。
乾燥や肌への刺激が気になる方は、界面活性剤(特に石油系の合成界面活性剤)が使用されていない無添加のものを選ぶようにしたり、
それが難しく、界面活性剤が配合されたクレンジングや洗顔料をお使いになる場合には、
できるだけクレンジングや洗顔をする時間を短くするようにし、
すすぐ際には肌に残らないようしっかりとすすぐ、
また、肌のツッパリやカサつきなどがひどい場合には使用しないといったことも必要になるでしょう。
さらに、クレンジングの場合には、ポイントメイクだけに使用するといったこともいいかもしれません。
ちなみに、乳液やクリーム、ファンデーションなどにも界面活性剤は使用されていますが、先の通り、この場合には水と油とを混ぜ合わせる乳化剤として使用されていますので、肌への影響も少なく、
このような乳液やクリームなどに配合されている場合にはさほど神経質になる必要はないでしょう。
6.まとめ
いかがでしたか?
界面活性剤というと肌に悪い、肌荒れを引き起こすといったイメージがありますが、
本当に肌への刺激が強く、実際に肌トラブルの要因となる界面活性剤というのはほんの一部なんですね。
また特に、界面活性剤が化粧品にも使われ始めた初期のものに刺激の強いものが多く、
今現在、多くの化粧品に使用されているものは非常に安全性が高く、それほど肌への刺激も気にすることなく使用することができるものがほとんどで、
それほど心配する必要のないものばかりだといえるでしょう。
とはいえ、特に、クレンジングや洗顔料、シャンプーなどに使用されている界面活性剤には洗浄力の強いものもあり、そのために、落としにくいメイクなども簡単に落とすことができるようになっているのですが、
そのような界面活性剤が配合されているものを使用することで肌の乾燥を進めてしまうこともあり、
そういった意味では、特に乾燥肌や敏感肌の方の場合には、ある程度は注意が必要なものでもあるといえるでしょう。
よろしければシェアをお願いいたします。