葉酸は妊婦さんになぜ必要?葉酸がある障害リスクを下げる?1日の摂取量や摂り方、注意点についても

最近、葉酸が注目されていて、特に妊婦さんに大切な栄養素であることも耳にすると思うのですが、

そんな葉酸が実際にどのような働きをして、どうして必要なのか、具体的にはあまりよく知らないという方も多いかもしれません。

今回は、葉酸の働きや1日にどれくらい摂ればいいのか、何から摂ればいいのか、

また妊婦さんが必要な理由、葉酸サプリ、飲み方や注意点などについて、詳しくご紹介してみたいと思います。

1.葉酸とは?

葉酸が含まれるほうれん草

葉酸というのはビタミンB群の一種であり、水に溶ける水溶性のビタミンでもあります。

また、ほうれん草などの緑色をした葉に多く含まれる栄養素でもあることからその名が付けられました。

体内で代謝に関わる栄養素でもあり、たんぱく質やDNAなどの核酸の合成、細胞の生産、再生にも関わる栄養素でもあります。

2.どんな働きがある?

ではそのような葉酸には実際にどのような働きがあるのでしょうか、

それにはいくつかあり、例えば、

・たんぱく質の合成を促す
・DNAやRNAなどの核酸の合成を促す
・細胞の生産や再生、分裂を助ける
・ビタミンB12とともに摂ることで造血を促す

といったことが主な働きとしてあります。

そしてこのような働きから葉酸は、人の体の発育や生育を促すのにも非常に重要な役割を果たす栄養素とされており、

特にたんぱく質はもちろん、DNAやRNAなどの核酸は、細胞の核に存在し、遺伝情報を司り、

その遺伝情報を体内へと伝達するのに必要不可欠なものであり、生命維持のための根幹となるものでもあります。

3.特に妊婦さんが摂りたい栄養素、その理由は?

妊婦さん

●妊娠初期に起こりうる先天性の障害リスクを低減させる

先のとおりに、葉酸には細胞の生成や分裂を促すといった働きがあり、健やかな生育や発育のためにも重要な栄養素となっています。

そのことから、特に、胎児の健全な成育のためにも非常に重要な栄養素とされていて、

また実際に、妊婦さんが葉酸をきちんと摂取することにより、赤ちゃんの発育を健全に保つことができるのはもちろん、

さらに「神経管閉鎖障害」という障害のリスクを低減させることができることもわかっています。

「神経管閉鎖障害」というのは、主に妊娠初期に起こる先天性の異常のことで、それが起こると神経組織に障害が生じ、そのことから、下肢の運動障害や排泄機能に障害につながってしまうこともあります。

さらには、死産や流産の確率も高くなってしまうものでもあります。

葉酸によって確実に神経管閉鎖障害を防ぐことができるというわけではありませんが、

そのリスクを減らすことができるのも事実ですので、特に妊婦さんに推奨されている栄養素となっているんですね。

実際に、厚生労働省でも妊娠期の女性に葉酸の摂取を推奨しており、

2002年からは母子手帳にも葉酸に関する記載もされているほどです。

4.他にもこんな効果も

さらに葉酸には、ビタミンB12とともに摂ることで、体内でホモシステインという物質がメチオニンへ変換されるのを助ける働きがあることも近年では報告されています。

このホモシステインは動脈硬化を引き起こす恐れのある物質でもあり、

それを、メチオニンへ変換するのが促されることにより、動脈硬化の予防へとつながり、

さらには、そのような動脈硬化が原因として起こる心筋梗塞や脳卒中などの予防にもつなげられるといわれています。

そのメチオニンというのはさらに、血中のコレステロールを低下させるという可能性があるものでもあり、コレステロールを下げる効果も期待できるようになっているということです。

他にも、葉酸、ビタミンB12の摂取により、虚血性の心疾患を防ぐのにも効果が期待できるのではないかという発表もあります。

さらに、葉酸が不足することにより悪性の貧血である巨赤芽球性貧血の原因ともなることから、十分に摂取ることによりこのような貧血を防ぐこともできるようになります。

5.どれくらい摂ればいい?1日の摂取量は?

ではこのような葉酸は1日にどれくらい摂取すればいいものなのでしょうか。

葉酸の1日の摂取量は、旧厚生省において、

・通常は400μg(0.4mg)
・妊婦さんの場合には、440μg

の摂取が望ましいとされています。

また1日の上限摂取量は1000μg(1mg)とされています。

さらに、日本人の食事摂取基準の目安というものもあり、そちら(2015年版)では、

・18歳以上の男女ともに240μgが推奨量

・妊娠されている女性、あるいは妊娠を計画している女性の場合にはそれに、さらに240μgプラスして、計480μg

を摂取するのが望ましいとされています。

ちなみに、日本人の食事摂取基準(2015年版)では、

1日の上限摂取量は、男女ともに18~29歳で900μg、30~69歳で1000μg、70歳以上で900μgと定められているようです。

6.葉酸は食事からでも十分に摂ることができる?

このような葉酸は、例えば、

ほうれん草やブロッコリー、アスパラガス、モロヘイヤやキャベツなどの野菜、

他にも、枝豆やイチゴ、みかん、バナナ、焼き海苔、納豆、えのきなどにも含まれていて、

基本的には、緑黄色野菜を中心に、1日に350gほどの野菜を摂っていれば不足することはないようです。

7.葉酸サプリは必要?

葉酸サプリメント
(出典:ベルタ葉酸サプリ)

このように葉酸は野菜に含まれているものですので、毎日野菜を摂る習慣のある方は不足の心配はあまりない栄養素とされています。

しかし、女性で、特に、妊娠されている方や妊娠を目指されている方で、野菜不足が心配な方の場合には、葉酸サプリを利用するのもいいかもしれません。

このような葉酸サプリは吸収率の高いものが配合されているものもあり、より効率的に摂取することができたり、

さらに、つわりを軽くしてくれる効果が期待できるビタミンB6が一緒に配合されているものなど、妊婦さんにも嬉しい他の成分も一緒に摂ることができるものも多くあります。

8.妊婦さんはいつから多く摂るのがいいの?

葉酸をどれくらい摂ればいいのか迷う女性

●神経管が作られる妊娠初期に最も多くの葉酸が必要

葉酸を食品から摂るにしても、サプリメントから摂るにしても、

妊婦さんの場合には、葉酸を多く摂ることが推奨されていて、特に、妊娠初期が最も葉酸を必要とする時期であるとされています。

これは、葉酸が関わる胎児の神経管が作られるのが妊娠6週末までとされているためで、

できれば、妊娠3ヶ月(妊娠12週)くらいまでは積極的に葉酸を摂るようにした方がいいとされています。

また、いつから積極的に摂ればいいのかについては、妊娠に気付いてからでも大丈夫なのですが、

受精卵が着床してからすでに細胞分裂は始まることから、できれば妊活中、妊娠1ヶ月前には積極的に摂るようにするといいようです。

●妊娠中期、後期、授乳中も摂りたい

もちろん、葉酸には妊婦さんの貧血を防いでくれたり、赤ちゃんの健やかな成長も促してくれることから、

妊娠初期が過ぎても、また、出産後、授乳の時期(母乳にも栄養が送り込まれることから)にも、摂るように心がけましょう。

この時期になると、摂取量は通常の摂取量でいいので、葉酸サプリを飲まれている方は必要なくなるかもしれません。

9.摂りすぎはよくない?葉酸サプリでの注意点は?

先のとおりに、摂取量の上限として、1000μgが定められているのですが、

葉酸は水溶性ということもあり、摂りすぎたとしても、代謝されなかったぶんは尿として排出されることになりますので、

摂りすぎによって何らかの健康障害が起こることはほとんどないようです。

しかしながら、摂取量の目安として上限も設けられていることも確かですので、それを守っておく方が無難でしょう。

また、食品から摂取する場合にはあまり摂りすぎるといったこともないので、さほど心配する必要はないかもしれませんが、

ただ、注意が必要なのは葉酸サプリから摂取する場合です。

これは葉酸に限ったことではないのですが、

サプリメントの場合、決められている用量を超えて過剰に摂取した場合には、発熱や発疹、下痢、吐き気などの症状が出るものもありますので、

必ず、用法、用量をきちんと守るようにしましょう。

10.まとめ

いかがでしたか?

最近、葉酸は注目されていて、健康維持のために必要不可欠で、

特に、赤ちゃんの健やかな成長のために必要不可欠なことから妊婦さんが積極的に摂りたい栄養素であることもよく耳にするようになりました。

実際にそんな葉酸には、特に妊娠初期にしっかりと摂ることによって「神経管閉鎖障害」という障害が起こるリスクを減らすことができることもわかっています。

そのことから母子手帳にも葉酸に関する記載がされているほどなんですね。

特に、妊娠されている方はもちろん、また、妊娠を目指されている方や授乳中の方にももちろん大切な栄養素でもありますので、

そんな葉酸について、その働きや1日の摂取量、含まれている食品、摂り方などについて今一度確認されて、大切な赤ちゃんの健やかさを守ってあげましょう。

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