最近では、肌のハリを保つにはコラーゲンを補給するよりも、「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」を活性化させるほうが早いと言われることもあります。
それはなぜなのか?また、実際にそんな「線維芽細胞」にはどんな働きがあり、効果があるのか?またその増やし方や衰えさせない方法について詳しくご紹介してみたいと思います。
ぜひ、活性化を目指して、より効果の高い、真のエイジングケアを目指しましょう!
1.線維芽細胞とは?
線維芽細胞というのは、結合組織の一つであり、皮膚や骨、軟骨、脂肪、さらに、心臓や肺などの全身の結合組織に存在し、
細胞と細胞をつなぎとめたり、身体自体を支えるのに必要不可欠な細胞となっています。
また、皮膚にも存在する結合組織であり、
皮膚を構成する組織の中では、皮膚自体を支える「真皮」に存在する細胞でもあり、
真皮内において、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの成分の生成に関わる源ともなる細胞でもあります。
その形は、紡錘形あるいは扁平の形のものが多く、
そのようにコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を作り出すという働きから、近年では、美容やアンチエイジングの分野でも注目されている皮膚組織でもあります。
2.線維芽細胞の働き
このような線維芽細胞の主な働きとしては、
●コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生み出す
線維芽細胞は結合組織でもあることから、真皮内に存在することにより、真皮の中で、細胞と細胞の間を埋め尽くして、支える役割のある、
コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの「細胞間脂質」を生成する役割があります。
そして、そんな線維芽細胞の働きが活発で、その量も豊富なほど、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸なども生み出されやすくなり、
コラーゲンなどが増えると肌を支える力も高まり、
自ずと肌のハリや弾力を保つことができるようになります。
逆に、線維芽細胞が衰えることで、そのようなコラーゲンやエラスチンなどの代謝も衰え、肌のしわやたるみにつながりやすくなります。
さらに線維芽細胞には、常に良質で新鮮なコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を肌内部に供給するという役割もあり、
古くなったコラーゲンを分解するといった働きもあります。
●肌細胞の修復、再生を促す
線維芽細胞には、肌細胞の修復や再生を促すといった働きもあります。
というのは、何らかの原因で肌が傷ついたり、損傷を受けた場合に、そのような傷ついた肌細胞へと線維芽細胞が移動し、
そこで、多くのコラーゲンを生成させる働きがあるからで、そのことにより傷ついた肌細胞の修復が促されます。
そして、肌細胞を新しいものへと再生させてくれるようになっています。
●女性ホルモンの分泌を促す
近年の研究において、線維芽細胞にはさらに、皮下内の女性ホルモンの受容を高めたり、その作用を高めるといった働きがあることもわかっています。
そして女性ホルモンには、肌へと作用することで、肌の新陳代謝を活発にしたり、肌の潤いを保つといった作用、
また、女性ホルモンにもコラーゲンの生成を促す作用もあり、そのような女性ホルモンの受容が高まることで、
より肌の弾力やハリ、潤い、若々しさを保つ効果も高まることになります。
3.線維芽細胞を活性化させるには?
このように線維芽細胞には、肌の内部でコラーゲンやエラスチンを生み出して、ハリのある若々しい肌を保ったり、
肌を修復、再生させるのにも非常に重要な役割を果たし、アンチエイジングのためにも大きな効果を発揮してくれるものでもあるのですが、
今現在、肌のハリ不足やたるみ、しわなどに悩まされている方はそんな線維芽細胞の衰えが原因となっているかもしれません。
ではこのような線維芽細胞を今よりももっと活性化させるにはどうすればいいのでしょうか。
そのためには例えば、
●肌の代謝をよくする
真皮内に存在する線維芽細胞は、肌を構成する組織の一つでもあることから、当然、肌の代謝が活発になることによって、線維芽細胞もまたどんどん作り出されることになります。
また、若く新しい線維芽細胞はその働きも活発であり、コラーゲンやエラスチンを生み出す力も強いものとなっています。
逆に、肌の代謝が悪くなることによって、その活性化も妨げられてしまうことになるため、肌の新陳代謝を活発にしておく必要があります。
●肌を保湿する
肌の乾燥は、肌のキメの乱れやゴワつき、しわなどにつながるだけではなく、肌の代謝も悪くしてしまいます。
そのことで、より肌のゴワつき、しわやくすみなどもひどくなってしまいますし、
肌の弾力、若々しさに欠かせない線維芽細胞も衰えさせたり、生み出されなくなってしまいます。
逆に、肌が潤っているだけで、肌細胞自体が生き生きと活性化し、ターンオーバーもスムーズに行われるようになり、
活発な、若い線維芽細胞も次々に生み出されることになります。
そのためには、例えば毎日のスキンケアで、
・化粧水や乳液、クリームなどでしっかりと保湿をする
・洗顔、クレンジングをしすぎない
・時々は、美容パックなどでしっかりと保湿してあげる
このようなことを心がけられるといいでしょう。
普通肌や脂性肌の方は自分である程度潤いが保てるようになっていますが、
特に、乾燥肌や敏感肌、インナードライ肌の方は、肌の水分が逃げやすく、常に乾燥しやすい状態にありますので、より保湿が必要ですし、
●エイジングケアケア化粧品を取り入れる
特に、加齢によって肌の代謝が衰えがちという方は、保湿ケアとともに、エイジングケアができる化粧品を取り入れてもいいでしょう。
最近では若い方であっても、生活習慣などによって肌の代謝が衰えてしまっている方も多く、そのことで線維芽細胞が上手く作り出せなかったり、衰えてしまっている方もいるので、
若い方でも、たるみやしわが気になるといった方は、エイジングケア化粧品を上手く取り入れてみるのもいいです。
例えば、肌の新陳代謝をよくしてくれるものとして、
・EGF、FGF
・コエンザイムQ10
・幹細胞エキス
・フラーレン
・ビタミンC誘導体
・ローヤルゼリー
といった成分があります。
このような成分が配合されているものも多くありますので、このようなスキンケア用品を上手く取り入れるのもいいでしょう。
4.体の中から増やす方法もある?
外側からのケアもとても大切ですが、体の中から肌環境を整えてあげることもそれと同じくらい、もしくはそれ以上に大切になってきます。
そのためには、
●適切で質のよい睡眠
肌のターンオーバーを健やかなものに整え、線維芽細胞の働きを活性化し、また、線維芽細胞自体を減らさないためには、
質がよく、適切な睡眠は欠かすことができません。
質のよい睡眠をとることは、成長ホルモンの分泌を促し、成長ホルモンが適正に分泌されることで、肌の新陳代謝も促され、
スムーズなターンオーバーも保たれます。
そのことで、真皮内では自ずと新しい線維芽細胞が作り出される環境が整い、その働きも活発になります。
また、睡眠をとる際にも、成長ホルモンをきちんと分泌させて、肌の代謝を整えるためには、夜の間に熟睡しておくのが最もよいとされています。
できれば、夜は、日付が変わるころまでには眠りにつくようにし、遅くても、午前2時くらいまでには熟睡できるようにしておきましょう。
さらに、成長ホルモンというのは、眠りについてから30分~1時間後くらいになって訪れる「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い眠りについた時に最も多く分泌されるといわれることから、
その頃には熟睡できているように睡眠の環境を整えておくことも大切です。
●適度な運動
適度な運動もまた、肌の代謝を整えて、線維芽細胞を活性化するのには大変有効です。
運動を続けることにより、血流もよくなり、
血流がよくなると、肌の新陳代謝も自ずと活性化され、線維芽細胞が生み出されやすい環境にも整えられます。
なかでも、血流を促し、肌代謝をよくするためには、有酸素運動が有効です。
●軽く、無理なく続けられる有酸素運動を
有酸素運動といっても、何も高度で専門的な運動やジムに通ったりといった必要はなくて、
例えば、ウォーキングやランニング、軽いジョギングでもいいですし、サイクリングや水泳なども簡単に行える有酸素運動です。
また忙しい方であれば、通勤時に少し多く歩くようにしたり、できるだけ階段を使うようにしたり、
あるいは、お買い物は車を使わずに自転車で行くようにしたり、お掃除の時間を少し長くしてみたりといった、日常的に有酸素運動を取り入れることもいいですね。
このような運動は、毎日少しずつでも続けていくことが大切ですので、無理なく続けられるものにし、
逆に激しい運動は体への負担が大きくなってしまいますので避けるようにし、軽い有酸素運動を心がけるようにしましょう。
●バランスのよい食事
食事もまた、肌を健やかに保つためにも、そして、肌代謝を整え、線維芽細胞の働きをよくするためにも非常に重要です。
本当に基本的なことなのですが、偏食を避け、
できるだけ多くの食品から、炭水化物にたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂ることができる食事を心がけるようにしましょう。
そのなかでも特に、肌の代謝をよくし、線維芽細胞の活性化のためにも効果的となる栄養素としては、
・βカロチン
(皮膚や粘膜を健やかに保ち、肌の新陳代謝も促す)
・ビタミンB群
(特に、ビタミンB1、B2、B6、B12には、脂質やたんぱく質の代謝を促し、肌の再生も促す
・ビタミンC
(線維芽細胞の生成を促したり、その働きを活性化する)
・ビタミンE
(血行を促進し、肌の新陳代謝も促す)
・鉄分
(肌へと栄養を送り込み、肌代謝、線維芽細胞も活発にする)
・亜鉛
(あらゆる細胞の代謝を促し、肌細胞の代謝や再生、修復も促す)
・カルシウム
(肌細胞、特に真皮の新陳代謝を促す)
このような栄養素が線維芽細胞を健やかに保つためにも有効で、
例えば、βカロチンやビタミンCは野菜、なかでも、緑黄色野菜に豊富に含まれていますし、
ビタミンB群は魚介類、肉類からも摂ることができるようになっています。
またビタミンEは、ナッツ類にも豊富に含まれ、鉄はレバーやほうれん草、魚介類などにも豊富で、亜鉛は牡蠣などに豊富に含まれています。
さらにカルシウムは、乳製品や大豆製品、骨ごと食べられる小魚などからも豊富に摂ることができるようになっています。
このような食品からバランスよく摂るようにするといいですね。
またさらに、
・たんぱく質
を摂ることも大切です。
皮膚の細胞自体はたんぱく質でできており、線維芽細胞もまた、たんぱく質から作られるため、やはりたんぱく質は必要不可欠な栄養素です。
そして、たんぱく質は肉類や魚介類、豆類などから摂ることができるようになっており、
やはりそれらから、偏ることなく、バランスよく摂るようにしましょう。
5.さらに衰えさせないためには?
●紫外線を避ける
紫外線を浴びることで、メラニンの生成が促され、シミやそばかす、くすみの原因になることはよく知られていますが、
紫外線は他にも、肌の真皮組織にも影響を与え、それを損傷させることもわかっています。
その結果、真皮組織を減少させたり、さらに、線維芽細胞も損傷させて、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成する能力を低下させ、
たるみやしわなどの肌老化を引き起こしてしまうこともわかっています。
特に紫外線の中でも、UVA(紫外線A波)は、肌の真皮内にまで到達してしまい、真皮にまでダメージを与えてしまうので、より注意が必要とされています。
そのためには、日ごろから外出する際には、きちんと日焼け止めを塗るようにしたり、日傘や帽子をかぶるようにしたり、
また、長袖を着用するようにしたり、できるだけ日陰の部分を歩くようにしたりといった、紫外線対策をきっちりと行うようにしましょう。
●ストレスや疲れをためない
ストレスや疲れもまた、肌へ影響を与える要因となります。
ストレスや疲れがたまると、肌荒れを起こしたり、肌のくすみやたるみにつながってしまう方も多く、
それは、ストレスや疲れがたまることで、自律神経やホルモンバランスの乱れが生じて、肌環境が悪化してしまうことが原因で、
やはりそのことは線維芽細胞の代謝や働きにも影響を与え、衰えさせる原因にもなってしまいます。
ですから日ごろからストレスや疲れを溜めないようにし、
ストレスや疲れが溜まっていると感じたら、決して無理をせず、ゆっくりとした時間を過ごすようにしたり、
また1日に必ずリラックスできる時間を作るようにしたり、好きなことに夢中になれる時間を作るようにするなど、
日ごろから、上手くストレスや疲れを解消する工夫をされるといいですね。
そうすることで、体の中からも自然と線維芽細胞を活性化させることができるでしょう。
●禁煙する、飲酒もほどほどに
喫煙は、体に悪いことはもちろんですが、肌環境にも悪影響を与えるものです。
喫煙により血流が悪くなり、肌の血行不良も引き起こし、肌の代謝を衰えさせてしまいます。
さらに、喫煙することで、線維芽細胞の活性に必要となるビタミンCも多く消費されてしまいますので、より線維芽細胞の衰えや肌自体の代謝の衰えも招いてしまいます。
飲酒もまた、その量が適量であれば血行を促したりする効果もあるので、問題ないのですが、それが過度なものだとやはり体にも悪く、
また、お酒には利尿作用があるため、飲みすぎると体が脱水状態に陥ることがあり、肌の乾燥も招いて、そのことで肌の代謝が悪くなることがあります。
さらに、アルコールを摂取することで肌の代謝にとって大切なビタミンB群も大量に消費されてしまうこともわかっていて、
ビタミンB群が不足し、より肌代謝の衰え、それとともに線維芽細胞のの衰えにもつながってしまうこともあります。
ですから、禁煙を心がけるようにしたり、お酒も適量を守るようにすることも大切です。
6.まとめ
いかがでしたか?
肌の弾力やハリを保ち、たるみを防ぐためには、コラーゲンを増やしたり、エラスチンやヒアルロン酸を増やしてあげることが必要であることはよく知られていますが、
そんなコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を、肌の中で生み出しているのは「線維芽細胞」という細胞だったんですね。
つまり、その線維芽細胞の働きを活性化させたり、衰えを防ぐことによって、コラーゲンなどのハリ成分も自然と増やすことができて、ハリも保つことができるようになるんですね。
そして、そのためにはいくつかの方法があって、
毎日のスキンケアだったり、積極的にエイジングケアを取り入れてみたり、また、日常生活でも、睡眠や食事、運動などでも、体の中から線維芽細胞を活性化させることができるんですね。
こちらではそんな線維芽細胞について、その働きや効果、また、その増やし方、活性化の方法などについても色々とご紹介してみましたので、
ぜひ上手く取り入れながら、線維芽細胞を衰えさせない肌で、いつまでもプルプルのハリ、たるみ知らずの若々しい肌をキープしていきましょう!
よろしければシェアをお願いいたします。